飲食店開業にかかる初期費用は?

飲食店を開業するために必要な開業資金や初期費用について解説しています。数字が苦手という人もいるかもしれませんが、しっかりお金を向き合うことがいちばんのコスト削減方法です。

飲食店を開業する際にかかる二つの大きな費用

飲食店をオープンさせるために必要な2大費用が物件購入費と内装に関する費用です。それぞれ、どういったところにお金が必要なのかまとめました。

物件取得に関する費用

文字通り、建物を借りる際にかかる費用です。お店の広さにより相場に差はありますが、こぢんまりした家賃が10万円の店舗であれば、物件を借りるのに120万円ほどかかります。物件取得費用の主な内訳は「前家賃」「補償金」「不動産仲介手数料」の3つです。その他に、保険や管理費といったお金も必要となります。

それぞれを見ていきましょう。

物件取得にかかる主な費用

前家賃
翌月分の家賃を先払いで支払います。そのため、物件を借りるタイミングで発生する費用の1つです。家賃が10万円であれば10万円、100万円であれば100万円を支払います。
保証金
家賃の6~10か月分が相場と言われる費用です。敷金礼金の形で支払うケースもあります。家賃が10万円なら60万円から100万円が必要です。
不動産仲介手数料
不動産会社を通して物件を借りる際に発生する費用です。家賃1か月分が相場と言われています。不動産仲介業者を通さず、物件のオーナーと直接やり取りをした場合には発生しません。物件を借りるために必要なお金は以上となっています。その他にかかるものも見ていきましょう。

その他の費用

日割り家賃
月の半分が経過した時点から物件を借りる場合、家賃を日割りで算出したものを支払います。前家賃とは別に発生するので、きりの良いタイミングで入居するのがおすすめです。
共益費・管理費
物件ごとに設定されている費用です。毎月必要なランニングコストとなります。家賃に含まれているケースとそうでないケースがあるので事前に確認しましょう。
保険
火災や地震といった自然災害に加えて水漏れや食中毒などが原因で損失が起きた場合を考えて、保険には入っておきましょう。不動産会社によっては、強制加入の保険もあります。
造作譲渡費用
居抜き物件を取得した場合、残っている設備や器具を前店舗から譲り受ける際にかかる費用です。

店舗投資(内外装工事・備品の購入など)に関する費用

物件の取得費用に加え、店舗投資の費用もかかります。目安としては1坪あたり50万円から80万円ほど。10坪のお店なら500万円から800万円、20坪を超える物件なら1,000万円以上となるでしょう。初期投資では、物件の取得費に比べ、店舗投資の割合が大きいことがわかります。

店舗の設備には以下のようなものがあります。

  • 厨房機器
  • 看板
  • 内装・外装
  • 備品(食器や家具、ユニフォームなど)

店舗の形態や規模、お店に出すメニューによって増減が激しい部分です。また、内装工事中にちょっとした仕様変更や追加工事が発生すると予算オーバーとなりかねないのも店舗投資費用の注意したいポイント。次からは、少しでもコストを抑える方法を紹介していきます。

飲食店開業にかかるコストを最大限抑えるためには?

ここからは、コスト削減のポイントについてまとめています。少しでも初期費用を抑えて、経営に資金を回せる余力を残しましょう。

物件にかかるコスト削減

物件のコストは、出店エリアの人気度や路面店かによって変わります。すでに飲食店が多数あり、人を集めているエリアは家賃が高くなっているケースがほとんど。また、1階に店舗を置く路面店もお客さんを集めやすいことから人気があり、家賃が高くなっています。

物件取得のコストを削減するのであれば、あえてエリアをずらしたり空中店舗(2階以上にある店舗)にしたりするといった選択肢を取ることも重要です。ケースによって数100万円単位でコストを削減できます。

インテリアにかかるコスト削減

自分のお店のインテリアには凝りたいと考えている人も多くいるでしょう。フルオーダーで統一感を持たせ、理想のインテリアで揃えるのも夢があってステキな話です。そこでおすすめのコスト削減方法は、予算を決めてそれ以上をかけないことです。使えるお金を絞ることで、必要最低限のものにだけしっかりお金をかけることができます。椅子にはこだわり抜くけど、食器は少し安いのを探したり、店内の飾りつけを最低限にしたりなどして調整します。

また、できるところだけをDIYしてしまう、骨董市やネットオークションを活用するといった方法も。気になるのは統一感ですが、あえてバラバラのものを揃えましたというコンセプトにしてみるのもいいかもしれません。

収益が上がってきたタイミングで少しずつ揃えていくのも、初期費用を抑えるコツです。

機材にかかるコスト削減

ガスコンロや冷蔵庫といった調理用の機材や器具のコストを抑えたいときは、居抜き物件を利用するのが1つの手です。居抜きとは、店内にある器具や設備、内装などが残ったままの物件のこと。使われていたものを、そのまま引き継げるためコストだけでなく設置や購入に出向く時間などを削減できます。

前店舗のイメージを引き継ぐ形になるので、自分のお店のイメージに合わない居抜き物件だと手を加える必要があるため、少し大変かもしれません。同系統の飲食店を経営していた居抜き物件を探すようにするといいでしょう。

厨房機器や調理器具を専門に扱うリサイクルショップを利用するのも、コスト削減につながります。

飲食店を開業する際に、しっかりとコストをかけるべきポイント

コストを削減して初期費用を抑えることで、店舗運営のための力を残しておくことは大事なことです。しかし、しっかりとコストをかけておかないと、大きなダメージとなって返ってくるポイントもあります。

災害対策

災害とは天災を含め事故によって発生するものも指します。災害に含まれるのは、地震や落雷、火災、爆発など。

どれだけ災害に備えていたかで、その後の店舗運営に大きく関わってきます。物件取得の際に保険への加入が進められると思いますが、内容をきちんと確認して入っておきましょう。

飲食店が加入できる保険に「店舗総合保険」というものがあります。保証内容は、一般的に下記のようになっています。

店舗総合保険の内容

損害補償
自然災害や火災、落雷、水害といった災害全般で生じた損害に対するもの。また、破裂や爆発、盗難などもカバーしてくれます。災害対策にあたるのはここです。災害のためにお店を経営できなくなってしまったときに役立ちます。
休業補償
災害による損害や食中毒などで休業を余地なくされた場合の売上げを、8割ほど補償してくれるものです。スタッフへの支払いもここから捻出することができます。別途労災保険に入っていると、金額を上乗せできるようです。
賠償保証
店舗経営時に生じたいろいろな賠償リスクをカバーしてくれます。例えば、看板の立て付けが悪く飛ばされ人にあたってしまったとき、食中毒が発生し治療費を請求されたときなどです。

一般家庭との大きな違いは「人を雇っていること」「お客さんがいること」。保険を選ぶときは自身以外の人に対して、万が一の事態に備えられるかを確認しましょう。

安全対策

安全対策はお店の中だけでなく、外にも行いましょう。看板やのれんなどは、強風で飛んでいってしまわないように、定期的にチェック。万が一人にあたってしまうと、損害賠償が発生するリスクがあります。独立店舗型であれば、外壁や瓦などがはがれやすくなっていないかも注意したいポイントです。

店内では、調理器具やインテリアなどが災害時に避難の妨げにならないかがチェックポイント。例えば、インテリアとしてお酒のビンを棚に飾っている場合、地震で落ちてきて割れてしまうと避難しにくくなってしまいます。人にあたってしまうと怪我のもとです。

調理器具は、火災対策がされているものを選びましょう。災害時はもちろん、普段の業務でも起こり得る万が一の事態にも備えておける器具がベスト。また、火が燃え広がってしまわないように内装にも少し気を配りたいところです。

その他、避難経路の確保や消火器の設置なども店側ができる対策。コストをしっかりとかけて、お客さんとスタッフ両方が安全に過ごせる場所にしましょう

衛生対策

食品の取り扱いやスタッフの衛生に対する意識付けは、お店が開店してからしっかりと指導する必要があります。開店前にコストをかけておきたいのは、水回りの清掃のしやすさ調理器具です。

飲食店の水回りは常に清潔にしておきたい部分です。飲食店以外の居抜き物件や内装工事をこれから行う場合は、清掃のしやすい調理場やトイレにしておきましょう。スタッフが清掃したり手を洗ったりしやすいよう動線の確保も念頭に置いておくといいかもしれません。

調理器具は、温度管理に問題が起きないよう気を配る必要があります。コストを抑えようと冷蔵庫を家庭用にしてしまうのはいけません。1日に何度も開け閉めする飲食店では、食材をしっかり冷やすことができずに管理上の問題が生じるおそれがあります。加熱用の調理器具もしかりです。家庭用では調理に時間がかかることも。しっかり火を通さずに食材を提供してしまうと、場合によっては食中毒の発生にも繋がってしまいます。

使用する器具は、業務用のものを用意するようにしましょう

セキュリティー対策

お金のやり取りがある場所なので、セキュリティー対策はしっかりとしておきたい点です。一般的なのは、監視カメラの設置。しかし、店内に何台ものカメラを設置してしまうとお客さんが入りにくいお店になってしまうので、設置するなら最低限にとどめておくようにしましょう。死角になりやすいところに注意が必要です。

その他の設置個所は、バックヤードや駐車場など。外部からの侵入者や車上荒らしなどをけん制できます。

警備会社が提供しているセキュリティーシステムに加入するのも1つの手です。盗難や火災などが起きたときに駆けつけて対応してもらえます。外部に委託することで、セキュリティーに関わる人員を削減できるため、結果的にランニングコストを抑えられるケースもあるでしょう

お金がかかるからとセキュリティー対策をしていなかった場合、盗難騒ぎが起きてしまうとお店の信用を取り戻すのが大変になります。対応を間違えてしまうと、閉店に追い込まれてしまう可能性だってあるのです。ここはコストをかけてしっかりと対策しておきましょう。

インテリア対策

インテリアはお店のイメージと直結しているため、顧客獲得に必要なポイントです。「また来たい」と思わせるインテリアやデザインはコストをかけてでもしっかり考えておきたいところです。用意するインテリアそのものも、必要なものだけコストをかけます。

また、スタッフが働きやすいレイアウトにすることも大切。移動や給仕のしやすさを考えておくことは、スタッフの体を守ることにもつながります。働いていて腰やひざが痛くなってしまわないよう、テーブルやカウンターの高さに気を付けたり掃除しやすい店舗にしておくことが大事です。設置するインテリアにピッタリのものがないときは、オーダーも視野に入れておきましょう。

また、光熱費がかかりすぎるインテリアになっていないかもチェックポイントです。日差しを取り入れる窓はステキかもしれませんが、熱も入ってきてしまうと光熱費がかかってしまう場合があります。窓ガラスを耐熱性にしておくと、そうしたランニングコストを抑えられるでしょう。

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